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日本帰国前の編入準備(後編)【バンコクおやこ相談室2025年12月(2)】

  • 執筆者の写真: あせすトンロー・プロンポン個別学習院
    あせすトンロー・プロンポン個別学習院
  • 12 分前
  • 読了時間: 5分

【今月のご相談】

 夫のタイ駐在がそろそろ終わり、我が家は来春に日本へ本帰国することになりそうです。そこで一番の悩みが現在インターナショナルスクールに通わせている息子のこと。日本帰国後は、私立小学校があまりない地域に住むことになり、恐らく公立小学校へ編入することになります。国語と算数が苦手なうちの子が、日本の小学校中学年の勉強に付いて行けるか心配です。3~4か月でこの2科目の苦手を克服し、来春からの日本の学校生活をできるだけスムーズに始めさせてあげたいのですが……。


【ご回答】

 前回は日本への本帰国、公立小学校編入を間近に控えた、インター校生で国語・算数を苦手とするお子様が残り数か月で何をするべきか、という質問に対して、現状の国語力の把握のための方法についてお話をさせていただきました。今回は現状から何をすべきかについてお伝えします。


①会話ベースの日本語から怪しい場合

 このケースの場合、今の学校の授業が終わって外に出たその瞬間から日本語に全振りした方がよいです。正直習い事も抑えた方がよいくらいです。学年が上になればなるほど、コミュニケーションが順調にいかないと友達を作ることすらしんどくなります。


 ご家庭でも会話のキャッチボールを増やしましょう。お子様は正直英語で話す方が楽、場合によっては保護者の方も同様、となりがちですが、ぐっとこらえて日本語でやりとりしましょう。最初は簡単な、自分が分かる言い方でいいから、と伝え、話をしながら「こういうときは、こう言うといいんだよ」と伝えていきましょう。

 もう少し上のレベルであれば、言葉が持つ微妙なニュアンスについても話しておきたいですね。


②漢字習得のレベルが低い場合

 漢字が日本の学年相応に届いていなければ、毎日時間を決めて取り組ませる必要があります。漢字は国語だけではなく全教科に出てきます。漢字が読めない=日本の学校教育についていけない、となる可能性が高く、対策の優先順位は非常に高いです。

 使うものは市販の漢字ドリルなどでよいです。ただ、単に書く練習だけではなく、その漢字が持つ意味や複数の読み方を一緒に確認していけるとよいでしょう。また、時折確認テストをして、できなかったらもう一度練習した後テストをすることを繰り返しましょう。

 毎日(もしくはほぼ毎日)漢字の学習時間を確保し、少しずつでも漢字に進歩がみられるようになったら、算数の対策もスタートできるでしょう。


 お子様によっては自主的にはなかなか取り組んでくれない場合もあります。その時は保護者の方の管理・監督のもとで、言葉はよくないかもしれませんが、強制的にでも取り組ませるようにしていかねばなりません。


③文章の音読、理解が不足している場合

 音読があまり上手でないと感じたら音読練習に取り組みましょう。ここでの注意はただ読ませてはいけない、ということです。保護者の方がお手本として先に読み、お子様がその真似をさせましょう。インター校に通っていると日本語のお手本が身近にないケースも多いです(周りに日本人がいてもその子と英語で会話しているケースも多いはずですから)。


 ポイントは1日5~10分でもよいので、可能な限り毎日行うことです。


 文章内容の理解が不足している場合は、市販のドリルでもよいので、短めの文章を読んで設問を解き、丸付けをし、間違えた設問の正しい答えを本文から探す練習を繰り返しましょう。ついついあせってしまいがちですが、お子様が自分で取り組めるレベルの学年からスタートでかまいません。最初から難しすぎると気持ちが逃げていってしまいます。


 この段階なら、算数の対策も同時並行で進められるケースが多いですが、まだ国語を優先すべきレベルであることは変わりません。


④設問を解き慣れていない場合

 この段階まで来たらあとは練習あるのみです。ただ解くだけではなく、解く→丸付け→間違い直し→間違えた設問の答えの根拠探し、を繰り返します。お子様一人で難しい場合は、保護者の方が確認してあげた方がよいです。


 この段階なら同時並行で算数の対策を行うことができるでしょう。


⑤算数の対策

 日本の小学校算数のカリキュラムはほとんどの国に比べて、速さ、深さ、さらに正確性が求められます。インター校では「わかったらおしまい」となっているケースが多く、そのままでは日本の学校教育に対応しづらいです。


 日本のカリキュラムは「らせん型」になっており、下の学年では本当に簡単なものしかやらないこともあります。そこで、「各学年でこれだけは身につけておかないと絶対に苦しくなること」をまとめてみました。


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 見ていただいてお分かりになるかと思いますが、上の学年になればなるほど後回しにできないものが増えていきます。しかもこれらは「下の学年のものができないと上に積み上げることができないもの」ばかりです。(なお、上の学年になるほど必須単元が増えるのは、中学校進学を見越したものです。)

 残り数か月でどれくらいできるかは難しいところですが、下の学年のものでやり残しがある場合は、日本の学校に通い始めた後でも、特に上記の単元を中心に苦手を解消していく必要があります。

 ただ、とてもじゃないが、こんな量をやっていくことは急に難しい、という場合は、とにかく計算からできるようにしましょう。日本の算数・数学は、小数や分数を含んだ計算が非常に多く出てくるため、整数・小数・分数を使った四則(+-×÷)の計算を繰り返し徹底しましょう。分かるだけではなくできるようになること、できるだけではなく素早くできるようになることを目指しましょう。

 現状の理解度に大きく左右されるところですが、残り数か月で取り戻せる遅れはあまり大きくはありません。そうであっても、外国に滞在されている間に少しでも多く取り戻しておくにこしたことはありません。上の学年になればなるほど、おうちの方がお子様に理解させるのが難しい単元が増えていきます。そんなときはぜひ学習塾のご活用をご検討ください。

なお、日本語のコミュニケーションが学年相応には難しい場合は、オンラインでの対応はお勧めしません。可能な限り対面で指導を受けることをお勧めいたします。


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