二学期の勉強がむずかしい!一時帰国時に羽を伸ばし過ぎた?【バンコクおやこ相談室2026年10月】

【今月のご質問】
子どもがバンコクの日本人学校に通っています。子どもは現在小学校中学年なのですが、夏休みが明けて二学期の勉強でつまずいているように感じます。今思えば去年もそうだったように思います。特にバンコクに来てからは「日本に一時帰国している間くらい…」という気持ちから、夏休みに少し羽を伸ばしすぎている反動かとも思うのですが、どうもそれだけではないような気がします。とくに算数でつまずきがちなのが気になります。
【ご回答】
お子様が小学校中学年ですと年齢は9~10歳くらいですね。同じくらいの年齢のお子様から「通塾を検討しています、学校の勉強についていくのが大変になったんです」と、中学受験をする・しないにかかわらずご連絡をいただくケースは多いです。そしてお話をお聞きすると、今回ご相談いただいたご質問と同様のお悩みをお聞きすることが多いです。
どうして同様のケースが頻発するのでしょうか。それを3つの観点に分けてお話をしていきます。
1. 理解の対象が「具体」から「抽象・概念」に
脳の発達の観点からみると、ヒトは10歳前後から抽象的なものを認識する力が強まるそうです。学校での学習内容もうまくできていて、小学校中学年から国語の文章のテーマが具体的なものから抽象的なものに変わったり、算数の分野でも概念で理解するもの(私はお兄さんのお小遣いの0.6倍をもらっています、の「0.6倍」など)が増えたりします。特に小3より小4、小4でも1学期から2学期で特に大きな変化が出ます。
〔具体例 小4後半の算数の学習内容例〕
分数:りんごの数のようにパッと数えられず、比べにくい(1学期は小数で似たことが出た)
2けた÷2けたの割り算:商の検討をつけて駄目だったらやり直しという試行錯誤が必要
概数:手順が複数回分岐すること、また例えばおよそ1000の数の実際の範囲が、四捨五入した位の違いで答えが複数に分岐すること
面積:一次元的な長さから二次元にレベルが上がり、また、単位換算もより複雑に
このように学習内容のレベルがこれまでに比べて急に上がっていくので、つまずきが目立つようになります。
2. 授業の密度が濃く、スピードは速く
学習内容の定着には、「わかる」→「できる」→「チェックする」の3段階が必要です。「わかる」は学校の授業を聞いて内容を理解すること、「できる」は理解できたと思ったことを練習して自分のものにすること、「チェックする」は内容が自分のものになったかをテストなどで試すことです。日本式の教育ではこの3段階が他国のカリキュラムに比べてしっかり行われています。
しかし、上記のように学習内容が高度化することにより、「わかる」の段階にかかる時間が増えます。学習内容自体も増えているので、しわよせは「できる」ようになるための時間の減少という形で現れます。子どもたちの目線からすると、これまでは「できる」ための時間が授業内に多くあったので、少しあやふやなことでも練習をすることで理解できていたのに、最近は授業の内容も難しく、説明が長くなり、授業内で問題を解いて練習する時間が減り、宿題を家でやろうとしてもあやふやなので進まなくなる、ということが多いように感じます。特にバンコク日本人学校は、年間の授業日数が日本国内よりも短いため、その傾向が顕著に出やすいです。
3. 夏休みの学習ブランク。日本人学校は長期休みが多い。
アメリカの教育機関の大規模調査によると、夏休みの間に算数の学習内容の10~30%が失われるとされています。また、日本国内の調査でも、学校外の学習時間は10年ほどの間に約2割も減少しているそうです。
学校が休みだから、と勉強から完全に離れる状況を作ってしまうと、その時はとても楽しい日々を過ごしたとしても、そのあとにやってくるのは学校の勉強についていくのに苦しさを感じる日々です。そうならないためには、生活リズムをできるだけ崩さないことと、毎日、あるいは2日に1回でもいいので、定期的に机に向かう時間を確保し実行することが必要です。
特にバンコク日本人学校で注意すべきこととしては、1か月前後の長期のお休みが、春休み、夏休みの2回あるということです。小学校後半からは一度崩れたリズムを取り戻すのは難しくなりますが、その機会が1年に2回も来るということです。今後の一時帰国の際には長期休みの過ごし方にもついても一緒に検討された方がよいでしょう。私たちの教室に通ってくださっている小学校高学年より上の生徒の方には、一時帰国中にオンラインで授業を受けていらっしゃる方が多いですね。
上記のように、小学校中学年は学習のつまずきが目に見えやすくなる時期です。しかし、子どもたちも自立心が育ち始め、保護者からの過干渉を嫌がる傾向が強くなります(「お母さん/お父さんに教わるのはいやだ!」と言い始める子が増えますね)。また、おうちの方が概念を人生経験から理解しきっているため、家庭内で教えてもなかなかお子様に伝わらないことにイライラしたり、徒労感を味わったりするケースも多いです。
これらは特定のご家庭だけに当てはまるケースではなく、非常に多くのご家庭で悩まれていることです。ですから、そのような様子が見受けられたら、ぜひ外部の力を使ってみようか、と考えてみてほしいと思います。

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