日本の学校への体験入学ってどうなの?【バンコクおやこ相談室2025年5月号】
- あせすトンロー個別学習院
- 7 分前
- 読了時間: 3分
【今月のご相談】
10歳になる子どもをインターナショナルスクールに通わせています。これまでインター校の夏休みの間だけ日本の小学校に体験入学させてきました。日本の国語やその他の科目のレベルアップを目的として、日本の同学年の子どもたちの中で勉強させようとの試みなのですが、なかなか思わしい効果を得ることが難しいと感じています。何か良い手だてはないものでしょうか?
【ご回答】
インター校に通っていると、日本の学校に通っている生徒との日本語力の差は年齢とともに開いていきます。一時帰国時に日本の学校に体験入学させる目的は、日本語力の向上、日本の友達との交流、日本人の間での社会性の獲得、などがメインになるでしょう。
しかし、日本語力の向上については、あまり期待しすぎない方がよいです。確かに日本の子どもたちとは日本語で会話するしかないですし、同年代の子たちから受ける影響は、大人から受けるものよりも大きいでしょう。周りのお友達も、お子様の日本語力が多少低かったとしても、かみ砕いて説明するなどサポートしてくれるでしょう。しかし、学力という観点でいうと大きな上積みは見込めません。語学の向上には、短期間集中の学習よりも、一回当たりの分量は少なくても長期間にわたって学習する方がずっと効果的です。
そして、体験入学の時期は、日本では1学期末にあたります。学校の先生はその時期に通知表を作るのですが、この業務は一般的に負担が重いといわれています。そのような時期ですから、場合によってはお子様が「お客さん」扱いで、あまり細かく面倒を見てはもらえない可能性があります。特に、お子様の年齢で求められる日本語力に達していない場合、授業があまり理解できないケースもあります。そのような場合に、下の学年のプリントを渡されて、他の子たちとは違う勉強をしていたというケースもあります。
また、10歳くらいだと子どもたちの精神的な成長も大きくなってきます。日本の学校とインター校とでは保護者が求める子ども像、社会が求める子ども像が違いますし、学校の指導はそれに大きく影響されます。小1・小2のころはそれを意識することは少ないでしょうが、子どもたちの精神的な成長とともに人間関係を作る際に違和感を覚えることが増えてくるでしょうし、その違和感に対して排他的な行動を取る比率は、日本は他と比較して高い傾向にあるように思います。その結果、日本の学校での居心地が次第に悪くなっていくこともあります。
「今日の学校の授業でどんなことを勉強したの?」と聞いて、お子様から答えが返ってこないようだと、学習面でついていけていない可能性が高いでしょう。「今日、学校で何が楽しかった?」と聞いたときに「給食と体育......」としか返ってこなくなったら、次の年からは通わせるかについて一度ご家族でお話し合いをされることをお勧めします。
小学校高学年以降の日本の小学校への体験入学は、
・学年相応の日本語力があるか
・インター校と日本の学校の文化の違いを理解できるか(合わせられるか)
・難しいと思うことに興味を持って取り組めるか
で、価値が大きく変わってきます。保護者の方にはその観点でお子様の様子を見ていただくのがよろしいかと思います。そして、お子様本人が体験入学を希望しないのに無理強いしてしまうと、日本語嫌い、日本嫌いになってしまうこともあります。本人の希望に合わせて対応するべきでしょう。
Comments