【今月のご相談】
うちの子は日本人学校の小学6年生です。「バンコク日本人学校は中学部から勉強のレベルが上がる」という話を耳にして、「いつまでものびのび生活させているわけにも行かないかなぁ」と考え始めています。毎年秋口に差し掛かると、年明けくらいまではあっという間。そろそろ新学年くらいまで見据えて、小6の勉強の総まとめに着手しておいた方がいいような気がしています。この時期、どんなことから手を付ければいいでしょうか?
<回答>
ご相談ありがとうございます。小6のお子様がいらっしゃるのですね。すでに学年の後半に入っていますから、次学年を見据えて今からできることを考え、取り組んでいくことはとてもいいことです。
特に中学校への進学は、「中1ギャップ」という言葉があるように、これまでとは大きく異なる部分が大きいです。バンコク日本人学校を例に挙げると、
・学習面→小学校に比べて自主性が求められる、授業のスピードが上がり、さらに内容が深くなる
・生活面→制服を着る(意外と大きい変化です)、小学校より在籍が大きく減るため人間関係が濃密になる
では、進学前にできることは何か。学習面のポイントは大きく三つあります。それは、
① 小6内容の学習は、できれば1月までに終わらせる
② 2月は、小6内容の復習を行う
③ 3~4月の春休みは、中1内容の学習を進める(特に英語、数学)
です。
中学校進学当初は、お子様は自分がもつ「心の体力」のほとんどを中学校の生活、学習に慣れることに使います。進級前に中1の学習内容を理解し、問題を解けるようにしておけば、進学後にお子様が学習面で余裕を持て、その分、その他の部分に気持ちを傾けることができ、中学校生活が順調に進むことが多くなります。
次に具体的な例を挙げてご説明します。
まずは数学です。中学数学のベースは小学算数です。そのため、小6の学習事項を学び終え、まとめを行うことで弱点単元を発見、克服することがまずは大切です。これを3学期に行うためには、2学期中からの先取りが必要です。可能ならば2学期内容を11月に、3学期内容を1月には終え、2月は小学校のまとめを行いましょう。小学校の卒業式の頃から中1内容に入ります。中学校では1年間での学習内容が多いので、授業内でやり方や考え方は教えられるものの、身につくまでに必要な練習量が不足しがちです。その分、学校がなく時間を取りやすい春休みを有効活用して、必要な練習量を確保しましょう。
次に英語です。小学英語は「聞く」「話す」の比重が高く、英単語を暗記して書かねばならないケースはほぼありません。しかし、中学英語になったとたん、英単語を暗記し、書かねばなりません。単語の練習方法を教わることは小学、中学ともないことが一般的ですから、周りのサポートが必要です。また、英文法についても、日本語とは文の作り方が大きく異なることから、「見たことがあるから分かる、書ける」から早く脱却し、どうしてその順に単語を並べるのかのルールを理解し、使いこなす練習が必要です。今、中1の教科書のUnit 1に出てくるbe動詞、一般動詞、助動詞(can)は、すべて文の作り方が違います。昔はそれぞれ異なるUnitで扱いましたが、現在、中1の英語の授業は、小学校で学習して理解していることが前提で授業が進みます。ここを理解しないと中学英語は一歩めからつまずいてしまいます。
もちろん他にも教科はありますが、この2教科が特に準備が必要です。これらをせめて中1の1学期内容までは終わらせてから中学に進学しましょう。そのためには、中1になってから、3学期になってから、ではなく、今だからこそできることから始めましょう。
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