【今月のご相談】
小学生の子どもをバンコクのインターナショナルスクールに通わせています。長い夏休みを利用して、家族で日本に一時帰国し、街中やお店など、多くの場所で日本語を目にしたからか、子どもが今まであまり興味をもって取り組んでこなかった日本語に興味を持ち始めている様子。今が日本の国語の勉強を始めるチャンスなのではないかと考え始めています。ただ、学校でも新学年に上がり、忙しくなるかもしれません。このタイミングではむずかしいものでしょうか?
【ご回答】
一時帰国中にたくさん目にした日本語に自分から興味を持ってくれたというのは、保護者の方としてはとてもうれしいことですね。お子様が興味を持っているかどうかで知識の定着に大きな差が出るのは明らかなことで、まさに今こそ大きなチャンスだと思います。
「授業中に生徒に興味を持たせ自ら学習に向かわせるような、効果的な指導を行うにはどうしたらよいのか」というテーマは、大学をはじめとする多くの研究機関で研究が行われ続け、いろいろな検証が示されています。いろいろな検証が示され続けているということは、生徒に興味を持たせる方法に模範解答は存在しない、ということでもあります。しかし、今、お子様は誰にそうしろと言われたわけでもなく、自分たちで興味を持てるものを見つけたのです。こんな素晴らしいことはないですね。
ただ、ほとんどのインター校は8月に新学年が始まり、授業の難度が上がり、学校・学年によっては次の授業までの課題・宿題が増えることもあります。学校によっては、夕方の帰宅後から宿題が終わるまで2~3時間かかる、学校で友達と課題に取り組んでから帰宅するのが午後8時を過ぎる、などといったケースも耳にします。
そうなると、学校の勉強だけでそれだけ時間がかかるのに、さらに新しい勉強を始めるなんて体力がもつのだろうか、時間が足りるのだろうか、と心配になってしまいますね。
しかし、子どもたちが興味を持ったときのモチベーションは大人が考える以上に高いです。そして、大人でもそうですが、前向きな気持ちで取り組んでいるときは肉体的な疲労を感じないことが多いですよね。子どもたちもその傾向は同じです(もっと強いかもしれませんね)。
そして、これは日本国内の生徒、日本人学校の生徒でも同様ですが、「今日から○年生だから、新しい気持ちでがんばろう!」と子どもたちに話すと、「うん、がんばる!」となることも多いです。新しいテキスト、新しいノートを見て気持ちが一新した経験は、保護者の方もお持ちの方が多いのではないでしょうか。
よって、生活サイクルを変えるのはこの時がベストです。塾講師である私から見ると、このタイミングで習い事が増えても、「自分ももう○年生だしな~」と納得して取り組む生徒が多いように思います。
とはいえ、先述の通り、この先体力的にやっていけるのだろうか、とご不安に思われることも当然のことです。私たちの教室にもインター校の生徒が多く通っていますが、学校で宿題が多く出る(可能性がある)方は金曜か土曜に通塾される方が多いです。金曜に宿題が出されても、日曜まで終わらせばよいから、という理由です。
そして、今がチャンスだからといって、一気に大量に詰め込むことはありません。語学は細くても長く続けることに意味があります。この場合、お子様の日本語に対する興味を保ち続けることが大切です。そして、それはお子様が長い時間を過ごすご家庭が中心となってやらねばなりません(学校生活は英語ですから、学校には期待できません)。私も今までに経験したことから、いくつかのアドバイスができます。ご興味があればお知らせください。
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