【今月のご相談】
家族帯同で赴任する前に一人でタイへ来て、いろいろと下調べをしています。特に気になるのは子育て環境で、私自身は「バンコク日本人学校を利用するのが良いのではないか?」と考えているのですが、妻はまた異なる考えを持っています。「タイのインター校に通うために家族で移住する方々も最近増えてきた」との情報をインターネットで得たようで、「せっかくタイ赴任できるのなら、子どもをインター校に通わせたい」と言っています。
【ご回答】
お子様がインターで勉強し、英語を身につけた方が、グローバル化がより一層進むであろう未来を生きるのにプラスになる、と思われるのはごく自然なことです。ただ、お子様の将来にとって本当にプラスになるかどうかは、いったん冷静になって考えてみるべきです。
私が教室で同じようなお問い合わせをいただいた時にお答えする内容を整理してみました。もちろん、ご家庭により、あるいはお子様の状況によりお答えは異なりますが、あくまで一般的なものとしてご覧ください。
《現学年別 通学先でインターを選ぶべきかどうか?》
(あくまで主観です。が、ここ数年の生徒の方を見てきた実感が反映されています。)
今回はお伝えしたいことが多くなりそうなので、2回に分けてお話しさせていただきましょう。
まず、お子様が小学生の場合、ポイントは「今後何年くらいで日本に戻ることになりそうか」です。2~4年程度の通学では、英語で物事を考える力を身につけるまでは至らないでしょう。
「英語でスムーズに会話ができるだけでもプラスなのでは?」という声もお聞きします。それもその通りです。しかし、この場合は、同時並行で日本語の学習もしっかり行わせるべきです。なぜかというと、日本語にしろ英語にしろ、情報を読み解き、深く思考ができ、それを整理して加工し、相手に伝えることができる言語を身につけないと、日本国内で仕事をする場合でも英語を話せることがプラスには働きにくいからです。
お子様がインター卒業、少なくとも高校途中まではいられそうであれば、先述の力を英語で養うことができるでしょう。ただし、現在低学年の場合、必要最小限の日本語が定着しないままインターに通学します。この場合、一般的な国語の学習は実際の学齢から1~5年程度遅れることになるとお考えください。
人間が持つ語学を学ぶ力はそう大差はないと思います。もちろん、中には数か国語を自由自在に操れる人はいますが、そのような人は全体からみるとかなり限定されるでしょう。普通の人が100の語学を学ぶ力をもっていたとします。その力は多い人でも140や150程度であって、200の力をもった人は少ないでしょう。つまり、「英語も日本語も完ぺきに!」はかなり高いハードルだといえるわけです。
このような中でインター校に通うことを選んだ場合、将来的に日本語をどう使うことになりそうか、を考えて取り組まねばいけません。特に幼少期からインターに通っている場合は、「日本語はめんどくさい」「英語の方が楽」と言って、動画サイトも英語のものばかり見ることも多いです。保護者の方が意識的に日本語に触れさせていく必要があります。
次回はお子様がもう少し上の学年の場合をお伝えしたいと思います。
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