【今月のご相談】
日本人学校に通ううちの子も今春から小学校高学年です。今までのんびり育ってきた割には中くらいの成績をキープしています。それがつい先ごろ一時帰国した時に日本の友達に触発されたのか、中学受験を狙えるくらいにレベルアップしたいという意欲が湧いてきたようです。これから日本人学校は長い春休みに入ります。この期間を上手く活かして、ちょっとだけ苦手な算数の成績を上げたいのですが、どんなことから手を付けるべきでしょうか?
【ご回答】
「ハイレベルな問題にチャレンジしたい。」そうお考えの方からよく聞かれる言葉が「思考力」「判断力」や「応用力」ですが、それらはいったいどんな力でしょうか。
それは、設問を見て、ゴールにいたる道筋をイメージし、それに合わせて自分の頭の中の引き出しに入っている自分の武器の中からどれを使うか、何を組み合わせるかを考え、実際にゴールに近づいていく力、といえるでしょう。
そう考えると、思考力や応用力を求めるには、解き方や考え方の引き出しがたくさんあることが前提となりますね。また、そのさらに前段階として小学校で学習する内容は高いレベルで習得できていることも求められます。ただ単に覚えているだけではなく、「なんでそうなの?」と疑問に思い、自分が納得できるように知ろう、考えようとする気持ちが大切です。
例えば、三角形の面積の公式は「底辺×高さ÷2」ですね。10本の木を5mごとに植えたら、端から端まで10×5ではなく9×5で45mになります。これらはどうしてこうなるのでしょうか。説明できるでしょうか。
「そういうものだ」と覚えて解くだけでもテストで点数は取れます。しかし、なぜそうなるのかを知っていなければ活用はできません。「だから三角形の公式はこれなのか!」と思えたときに、本当に理解できたといえるのです。
だから知ることを楽しめる生徒であることが一番の前提になるでしょう。
もう一度まとめると、思考力、応用力を養うには、
・頭の中の引き出しにものを整理しながらたくさん入れる
・頭の中の引き出しに入っているものから適切なものを探す
の2点が必要です。
これは、国語や他の教科であっても変わらないでしょう。国語であれば、さまざまな語彙や表現が自分の引き出しになければ、そもそも文章内容を理解できないでしょう。また、自分の引き出しの中にあるから話の内容は理解できたとしても、語彙・表現を使いこなせなければ自分の考えを十分に表現することができず、結果として国語力としては不十分だとなってしまいます。
先述の2点はどちらも簡単ではありません。だから、何かをしながらプラスαで取り組むのは難しいです。だからこそ、長期休みを活用しましょう。日本人学校では一番長い休みが春休み。終わった後に「頭をたくさん使った春休みだった」という感想が出てくるとすばらしいですね。
学習塾で学ばれるか、家庭学習で進めていくか、また、学習塾でも、中学受験塾、集団指導塾、個別指導塾のどれにするか。現在のお子様の状況に合った形態を選ぶのがよいでしょう。また、学習塾の場合、その塾でどんな指導を受けることができるのかお聞きになってみるとよいのではないでしょうか。
※三角形の公式が「底辺×高さ÷2」なのは、平行四辺形(「底辺×高さ」)を対角線で2つに分けたものが三角形になるからです。平行四辺形の公式がなぜこれなのかは…上田に聞いてください!
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