インター校で生徒が苦労するポイントとは?【バンコクおやこ相談室2026年5月号】
- あせすトンロー・プロンポン個別学習院

- 5月4日
- 読了時間: 5分
【今月のご相談】
長らくタイで生活していると、周囲で子どもたちをインターナショナルスクールに通わせるご家庭が思いのほか多くお見えになります。特に子どもたちが小さいと、彼らの学校生活がとても自由に見えます。インター校に子どもたちを通わせた場合、日本の学校との学習内容の違いから苦労する点ももちろんあるかと思います。特に国語の補習が必要になるのは見当が付くのですが、それ以外の教科でも子どもたちが苦労しがちなポイントなどがあれば、あらかじめ知っておきたいと思います。特に夏休みなどの長期休暇で、日本の学校教育との差をどれくらいカバーできるのか、教えてください。
【今月のご回答】
タイ滞在期間中にお子様をインター校に通わせることで、生きた英語に触れるチャンスが得られ、それがお子様の将来を広げることにつながるのではないか、と期待するのは保護者の方として当然の心理です。しかし、安易に進めてしまうと落とし穴にはまってしまう危険性もあります。
ご質問は、インター校にお子様を通わせた場合、日本との学習内容の違いで苦労する点は何か、と、長期休暇を使って日本の学習進度とのギャップをどれくらいカバーできるか、ということですね。
①日本との学習内容の違いで苦労する点は何か
インター校に通ううちにまず向上するのは日常会話でしょう。先生や友達との会話がヒアリングできるようになると、「こういうときはこう言えばいい」というのがわかり、それとともにやり取りの幅は広がるはずです。しかし、日常会話は問題ないレベルになったとしても、学習面で最も苦労するのは、算数・理科などの自然科学分野です。「算数なら計算などは同じじゃないの?」と思われますよね。それはその通りですが、ただの計算でも
「5あまり2」の「あまり」はどう書くのか?
「小数」「分数」などの用語を英語でどういうのか?
これらの知識がないと、学校の授業を聞いていても理解度が大変低い状態になります。最初のうちしばらくはおうちの方がお子様が学校で学習した内容を一緒に日本語に直さないといけないでしょう。
理科も同様です。次は小6理科の教材から引用した説明です。「川の下流や海に運ぱんされたれき・砂・どろは、流れのゆるやかなところで、つぶの大きいものから順にしずみ、どろなどのつぶの小さいものは、遠くまで運ばれてしまう。そのため、海底では、河口からおきに向かって、れき・砂・どろの順にたい積する。」ここに出てくる単語を英語にするのは、大人でも難しいでしょう。これを英語に直したような文章をお子様たちは日々学習することになります。
さらにやっかいなのは、日本→タイへの移動当初は日本語→英語で苦労するのですが、中学や高校で本帰国となった場合、今度は英語→日本語で同じ苦労をすることです。日本語でも専門用語がいっぱい出てくるので、それを一つ一つ英訳して内容を確認するのが大変だ、という話を本帰国した教え子から聞いたことがあります。
②長期休暇を使って日本の学習進度とのギャップをどれくらいカバーできるか
小学校の算数のように「解き方が分かる→練習する→解ける」の流れで勉強できるものは長期休暇に集中して学習することで、それなりの範囲をカバーできるでしょう。インター校で学習しているMathと重なるところもあり、一定の相乗効果も期待できます。
しかし、国語はそれとはまったく異なるものとお考えいただきたいです。語学の特性として、長期間にわたって繰り返し学習しないと向上しないことは、私たちがタイ語の学習をこれから始めることをイメージするとお分かりいただけるでしょう。タイ語を1年間のうち2か月だけ集中して練習すると、その時期は一定の上達は見られるでしょうが、間が空くことで学習したことはどんどん抜けていくことは想像に難くないかと思います。
また、日本の小学校の国語の授業は、小1~2で週9時間(ほぼ毎日2時間)、小3~4でも週7時間(毎日1時間か2時間)あります。これは必要だからそうなっているはずで、それを一定期間だけ集中することでカバーできるかと言われると、相当に難しいことであると言わざるを得ません。
「そうはいっても、ご家庭内での生活言語が日本語だから何とかなるのでは」と思われる方も多いでしょうが、ここで考えてみていただきたいことがあります。日本国内のご家庭はほぼ100%、家庭内言語は日本語であり、さらにその上で学校教育において先述の量の国語学習をするのです。
会話のときの日本語と学習のときの日本語では語彙力のレベルが違います。特に小学校の後半からは目では見えないものや抽象的な概念を扱うようになります。10歳くらいから抽象的な概念の理解が進むようになるためです。また、母語もこの時期に固まります。この時期の言語学習については、英語と日本語のどっちつかずにならないようにすることが特に大切です。
まとめると、インター校に行く場合、特に国語は長期休暇だけで日本の学習進度とのギャップを埋めることは難しいので、インター校に通いながら日本の学校で学習するような言語学習は継続的に行っていくべきです。学校でJapaneseの授業があるところもありますし、私たちの教室にはインター校の生徒が国語を受講しにたくさん来てくれています。今の国語の力に合わせて指導をしています。
私は「タイに赴任後、子どもを日本人学校とインターのどちらに行かせたほうがよいか」と質問されることもありますが、まず期間をお尋ねすることが多いです。5年やそれ以上こちらにいらっしゃる見込みの場合はインターも選択肢の一つですが、2~3年滞在で日本に戻られるなら日本人学校の方がよいとお話しすることが多いです。
また、お子様自身はどうしたいのかも大切ですが、おうちの方がお子様にどうなってほしいのかという将来像、また、おうちの方がお子様の言語に対する適性をどう判断されるかも大切です。上記の通り知らない言葉が限りなくたくさん出てくるので、知らないことに興味を持てる子、積極的な子、投げ出さない子であれば、小学校途中からインター校に移っても力を伸ばしていくことはできると思います。

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