アメとムチのさじ加減【バンコクおやこ相談室2025年11月号】
- あせすトンロー・プロンポン個別学習院

- 11月1日
- 読了時間: 4分
【今月のご相談】
タイ、バンコクでの子育てを始めて1年ほどが経ちます。子どもは小学校高学年で反抗期なのか、宿題もせず家でダラダラと過ごしているのを注意すると不機嫌になることが増えました。日本にいた頃は孫に優しいおじいちゃんやおばあちゃんが子どものストレスを軽減してくれていたのかもしれません。夫はタイでの仕事が忙しく、家庭内での子育てはほぼ私一人で受け持つのが現状ですが、日本にいた頃は私にも職があり、今のように子育てを私一人で受け持つのははじめての経験です。私は少し子どもに厳しすぎるのか、子どもの機嫌を取りながら学習意欲を持たせることが上手にできません。子どもに毎日少しずつでも机に向かう習慣を持たせられるよう、飴と鞭の使い分けが上手くできるようになればと悩んでいます。
【ご回答】
小学校高学年の子たちのほとんどは、大人側が子どもたちにやってほしいこと、つまり、宿題を毎回終わらせること、プラスアルファで家庭学習をした方がいいことも、晩御飯の前に宿題をやってしまえば食後は寝るまでのんびりできることなども頭では理解しています。そしてそういう自分になれるのなら、それは素晴らしいことだとも思っています。ただ、そこに体や心がついていかないケースが非常に多く、そんなときにおうちの方がそれを指摘して強制力をもって子どもにやらせようとすると、子どもが反発してうまくいかないというケースは非常に多くの方からお聞きしています。
私は家族以外の近い立ち位置の大人という立場からそのような様子を見ていて、小学校高学年くらいの時期には子どもたちに「自分のことは自分で決めたい」という気持ちが生まれるがゆえに、自分の意に沿わない強制に反発するケースが多いのではないかと感じています。よって、おうちの方にとって許容できる範囲内で選ばせるのがよいのでしょう。「宿題いつやる?ご飯の前?ご飯の後?寝る前?」「うーん、ご飯の後かな?」「じゃあ、それでがんばってね。」と。
前提としては、一度決めたら必ずやる、と約束をしておくことです。「ご飯の後に宿題するんだったよね、がんばってね」というやりとりの後に、子どもが少しうだうだしながらでもやるのかどうかを見極めましょう。やるやらないを自由に選べるならほとんどの子はやりたくないのが宿題です。それをがんばって自分からやるのなら、それだけで褒めるべきことです。
逆にそれでもやらない場合は、勉強しないことを叱るのではなく、約束を守っていないことを叱るべきでしょう。約束の重みが軽くなると一事が万事であらゆることにマイナスの波及効果が出ます。
話が逸れますが、私は生徒に約束をなぜ守らないといけないのかについて話したことが度々あります。こんな話です。
・大人になったら自分で働いてお金を稼いで生きることになる。その時はふつう他人と一緒に働くことになるが、仕事では自分の得意分野で相手を助け、苦手分野では逆に助けてもらうことが大切で、そのためには相互信頼が必要だ。しかし約束を守れない人間は信頼されず、その結果、自分が助けてほしい時に助けてくれる人が減っていく。
・人と一緒に働きたくない場合は自分が社長になるしかない。それは苦手分野も自分でやるということ。そして、人に何かを売らなければ自分の給料は出ない。人に何かを買ってもらうとき、約束も守れない人間から買おうと思うお客さんはいるだろうか。
具体例を挙げて話をすれば、実感まではいかなくても多少は現実的に感じてくれる子どもがほとんどです。しかし、こういった話を親子でするのを避けたがる子どもが小学校高学年から増えていくのもまた事実です。それでも、保護者の方が根気強く忍耐をもって事にあたっていくことが必要なのだと思います。
小学校高学年ということは、生まれてからと同じだけの年数が経つと社会に巣立つ時期を迎える年齢です。やるべきことをやるべきタイミングに集中して取り組めることは、大人として生きていくのに間違いなくプラスになるでしょう。それを手を変え品を変えつつ伝えていきましょう。お子様があせすにお通いのおうちの方がこれをご覧になっていたら、お知らせくだされば一緒に話していきますから、ぜひおっしゃってくださいね。

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