【今月のご相談】
日本での生活に比べ、外で運動をする機会が少なく、好きなことができないストレスが影響しているのか、うちの子は気持ちの切り替えが下手なのかな? と少し心配です。小学3年生になってからは、「宿題はもうやった?」と尋ねると、「今やろうと思ってたんだよ」とちょっとふてくされることも増えました。早く取り掛かれば宿題も終わって、その後に好きなこともできるのにと思うのですが、何か良い注意の仕方はないものかと悩んでいます。
【ご回答】
ご相談いただきありがとうございます。回答させていただきます。
お子様がある一定の年齢に差し掛かると、おとなの言葉を素直に聞かなくなるものです。私も長く塾の講師をしていて、小学校中盤から中学生に差し掛かる時期のお子様には、「自分もおとなの一員として、周りに認められたい」という欲求があるように感じます。ただ、保護者の方から見ると、まだまだ子どもすぎて、つい「ああしなさい」「こうしなさい」と言ってしまいがちで、その結果、お子様がさらにかたくなになることも少なくありません。
ではどうするべきか。私がよく保護者の方にお話をするのは、「お子様自身に決めてもらいましょう」ということです。「5時から宿題」「夕飯までは遊んで、夕飯を食べたら勉強」など、自分で今日のスケジュールを考えてもらいましょう(できれば、スケジュールを決めるための前提として「夕飯は何時ごろ」「お風呂は何時ごろ」などは、おおまかでよいので伝えておきたいですね)。そして、時間になったら、行動をうながしましょう。「5時になったよ」「さっき決めた勉強の時間になったけど、やれる?」など……。
人間には「周りの人に自分を認めてもらいたい」という承認欲求があります。お子様たちにももちろんあります。ですから、お子様の要求がどんなに突飛なものであったとしても、まずは、自分で考えたこと自体を認め、その気持ちを受け入れることが大切です。そしてその後で、なぜその要求を受け入れることが難しいのか、説明しましょう。あるいはおとな側から代替策を出すのもよいですね。そしてお子様自身が自分の行動を決められるようにしてあげることが大切です。ほとんどのお子様は、自分で決めたことならば、それがおとな側の意見をほとんど受け入れた場合であっても、それを守らねばならないと思ってくれます。保護者の方も時間が限られ、お忙しいでしょうが、お子様が自分で考えて色々なことに取り組んでいく第一歩です。一朝一夕で急に変わるものではないですから、根気強くお話を繰り返していただきたいところです。
また、保護者の方の言葉には反発するが、塾の講師など周りの大人が話したことは意外と素直に受け入れることも多く見受けられます。お子様にとって保護者の方は「何を言っても、何をやっても、最終的に自分を守ってくれる存在」であると分かっているがゆえに反発します。甘えの裏返しなのでしょう。それに対し、塾は勉強のために行く意識が強いですから、私たち講師から話したことは素直に受け入れてくれることが多いように感じます。ですから、お子様を塾に通わせていらっしゃる方は、塾の講師もうまく活用されるのがよいかと思います。
私がここで書いたのはあくまで一般論に近いものであり、お子様一人ひとりの実情により手を変え品を変える必要があります。私は塾の一講師の立場ではありますが、縁あって関わりを持たせていただいたお子様が大人になっていくお手伝いを、勉強を教える以外の面でもしていきたいと考えています。
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